君にはコロナ後のこの世界はどう映る?By Kamel Mennour

 

今日ご紹介するのは、パリのギャラリスト、*Kamel Mennourが開催した、ロックダウン後初めて行われた展覧会についてです。

タイトルは、”Et pour toi,c’est quoi le monde d’après?”、日本語だと「君にはコロナ後のこの世界はどう映る?」

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実はこの展覧会の主役は世界の子ども達の絵なのです。

未曾有の事態のその後の世界は子どもたちの目にはどう映るのか、そんな疑問を持ったKamel Mennour氏は、まず自分の子どもたちのこの問いを投げかけ、それを描かせました。子ども達とデッサンを通して、コミュニケーションをしているなか、自分の子どもだけでなく、世界の子どもたちに同じ質問を投げたいと思い、世界の子ども達にコロナ後の世界を描くようSNSを通し呼び掛けることになります。また子ども達だけではなく、彼のギャラリーに所属しているアーティストにも同じ質問を投げかけ、デッサンを描くよう提案します。

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この呼び掛けに答え、Kamel氏の元には約1800の絵が送られ、その絵を今回の展覧会で紹介されている作品となりました。そして全てのデッサンは100ユーロという単一価格で販売され、その全ての売り上げは*Abbé Pierre財団、Necker病院に寄付。

ここで興味深いのは、この展覧会にはギャラリーのアーティストが描いたデッサンも子どもたちのデッサンと混じって、アーティスト名は表記せず展示しているところ。

コロナ後の世界を想像し、大人同士で話していても、暗くネガティブな事ばかりが話題になりますが、子どもたちの目に映る世界はすごくポジティブなものが多く、この新しい世界に対してよりオープンな印象を受けました。特に緑や自然が多いこと。

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私自身も展覧会に行き、このいまの世界のネガティブなところだけに、目をやるのではなく、良い点も見出し、生きていかなくてはならないなあ、と反省。

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例えば、家族とのコミュニケーションが密になったり、いろんな将来のことをパートナーと話し合ったり、自分と見つめ合う時間が取れたり、自然が恋しくなったり、それはまた以前より環境問題を考えさせられたり。

もしかするとこれから悪いことも起こるかもしれないけど、そんな中いま手のひらにあるものをどれだけ大切にし守り、生きていくか、助け合っていくか、そんなことに思いを馳せる機会をくれた展覧会でした。

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注釈
Kamel Mennour ってどういうギャラリー?

1999年、パリ開廊し、パリには2つのスペース、ロンドンにもう1つスペースを持つインターナショナルなギャラリー。紹介するアーティストは世界的にも著名なアーティスト、Mohamed Bourouissa、Daniel Buren、Camille Henrot、Huang Yong Ping、Anish Kapoor、Claude Lévêque 、Tatiana Trouvéなどなど。

Abbé Pierre財団

住居を必要としているが金銭的や様々な問題で住居がない市民に住居援助をしている財団。

画像著作権:FALA

 モロー林 翔子